2024年

新シリーズは「大川橋ものがたり」ーー             名倉流骨つぎ師、江戸を生きる
2024年 · 2024/04/22
日本橋、柳橋と書いてきた私の橋シリーズ。次は隅田川の橋と考え、川ベりをそぞろ歩いて閃いたのが、大川橋(吾妻橋)です。 ちなみに大川端に生まれ、この川を深く愛した芥川龍之介は、 「大川は、東京という大都会を静かに流れているだけに、その濁って、皺を寄せて、気むづかしい猶太の老爺のように、ぶつぶつ小言を言う水の色が、如何にも落ち着いた、人懐かしい、手触りのいい感じを持っている・・・」と『大川の水』に書いています。 関東平野をうねり下ってきたこの天然川に、気難しくも暖かい“ユダヤの老人”を視た芥川の観察眼、まさに感動ものですね!

ぶらり甲斐路ーー温泉、甲府城、竹中英太郎記念館など
2024年 · 2024/03/06
二月末、早春の甲斐路へ。この甲府盆地は昔から何となく好きで、もう何回めの旅になるでしょう。といってもいつも一泊。今回も市内の湯村温泉にある『竹中英太郎記念館』を訪ねる夫に相伴し、温泉に泊まろうという魂胆でした。初めて甲府を訪れたのはもう三十年くらい前で、ここはワインと温泉の宝庫・・・とかいう某誌の記事に乗せられ、お薦めの勝沼の“ぶどう農家センター”なる宿を目指したのです。 ところが“駅前の丘の中腹に見える”はずの看板が、どこにも見当たらず、あれれ、としばし呆然。そのうちふと『ぶどうの丘センター』の看板が目に止まった。ははあ。予約するため宿に電話した時、「ぶどうのーかセンターさんですか?」「はい、ぶどうのーかセンターです」というやりとりが確かにあったのだ。つまり“農家”は雑誌の校正ミスで、正しくは“の丘”。宿は楽しめたけど、後で某誌にクレームの葉書出しました。(今は『勝沼ぶどうの丘』に変わっています)。

雪の日の話
2024年 · 2024/02/11
五日(月)は二年ぶりの大雪に見舞われたけど、いかがでしたか? 横浜の我が家では、鉢植えの夏椿の枝が数センチの雪の重みでポキリ。また物流の遅延で、水曜に届くはずの宅配が一日遅れとなりました。 その雪も溶けた七日(水)、行きつけの美容院に予約の電話を入れたが、何度かけてもコール音が響くだけ。美容院は火曜が定休だから、今日は臨時休業か。でもそうであれば普通、休みを伝える音声テープが流れるのでは? 少々気になったので、買い物帰りに寄ってみると、店は閉まっていて『休業』の札はなし。店内には電話のベルが鳴り響いていて・・・ふと私は不安に駆られました。何かあったのでは?

正月早々さんざんの、諸行無常の記
2024年 · 2024/01/09
え、そんなはずはないと思いつつ、嫌な予感がムクムクと・・・。正月二日の午後一時。都心にそびえるタワマンの前に私はいました。 「おせちを食べに来ませんか」とこの上階に住む、夫婦共通の友人に招かれ、夫婦で横浜から東急線で東京へ。友人はプロなみに料理上手の独身男性で、毎年新年会に招いてくれます。今年もそのマンションの入り口に立ち、心楽しくオートロック解錠のボタンを押したのでした。 でもいつもはハイと出る部屋主が、出ない。手帳で番号を確かめ、何度押しても結果は同じ。たまたま入って行く人の後についてロビーに入れたけど、コンシェルジュ(フロント係)は正月休み。住人が中でボタンを押さない限り、エレベータにも乗れません。