新シリーズ『柳橋ものがたり』①~⑩ 絶賛発売中!!

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しっとりとした筆致で、江戸に生きる 人の綾を時代推理の俊英が描く

 森真沙子の新たな代表作として、2018年から刊行が始まった「柳橋ものがたり」。舞台は、幕末、江戸一番の花街だった「柳橋」。訳あって武家の娘・綾は、柳橋の入り口に建つ船宿の住み込み女中に。そこで綾が出会う事件の数々を、歴史上の事件や実在の人物も絡めて虚実ないまぜに描いた傑作です。作品詳細は、森真沙子の窓 (2018年7月20日ブログ)も合わせてご覧ください。

 


最新刊!!

 

幻燈おんな草紙

柳橋ものがたり⑩(完結編)

 

「兄の幸太郎は生きている」と篠屋の主・富五郎に告げられた綾。果たして、綾は兄に再会できるのか…。

 

「兄の幸太郎は生きている」と篠屋の主・富五郎は突然、綾に告げる。住み込み女中となって働きながら兄を探していた綾は、微かな手掛かりを頼りに兄の痕跡を追う。そんな折、お忍びで綾の前に現われた天璋院(篤姫)がもたらした天祐とも思える話と「その意気、今度こそ逃してはならんぞ!」の言葉に励まされ、三田聖坂向かう綾。果たして……。(第四話「天璋院様お成り」)

 


 宿『篠屋』の綾

柳橋ものがたり1

  

6つの謎と事件の行方 新シリーズ第1弾!


 船宿『篠屋』の勝手口から端正な侍が飛び込んで来て追われていると言う。予約客の寺侍・梶原だ。女将のお廉は梶原を二階に急がせ、まだ目見え(試用)の女中・綾に、あんたも急いで二階に上がり、湯文字ひとつで梶原様の床に入るんだと叫ぶ。追手の足音も迫る。同衾を装うための芝居をしろというのだ。綾は床で丸くなって考えていた。この船宿は断ろうと。だが…。

ちぎれ雲

柳橋ものがたり2

 

死か、右脚切断か──名女形・澤村田之助、その凄絶な決断と意地。

船宿『篠屋』の綾が瞠目した歌舞伎名優の仰天の決断!

(第4話『ちぎれ雲』)

柳橋の船宿『篠屋』の奥屋敷に江戸歌舞伎随一の名女形・澤村田之助が戸板で運び込まれた。二年前に舞台で傷めた古傷から毒が入り、骨や肉が腐っていく難病のため、秘密裡に御典医の往診を仰ぐことになったのだ。蘭方の御典医は、一刻も早く脚を切断しないと命にかかわる、と診断した。武家の娘で訳あって篠屋の住み込み女中になった綾は、田之助の仰天の決断を知って……。

渡りきれぬ橋

柳橋ものがたり3

 

この橋の向こうには、

何かが待っている。

渡りきれれば……。

 

そんな思いを胸に、ままならない日々を生きる庶民の哀歓を描く。1話ずつ読み切りスタイルで全5話を収録。第3話「夕映えの記」は、『篠屋』の厨房を預かる料理人・薪三郎と、幼馴染で大森の海苔屋に嫁いだお登勢の胸に秘めた恋心を描く。第5話「へちま」は、将軍家に仕えてきた学者であるも名うての遊び人・成島柳北の耳に、彼の若き日の情人・久米八が異人相手のラシャメンに身を落とすという噂が。女の窮地を救おうとする柳北に、篠屋の主人や綾が助太刀するも……。

送り舟

柳橋ものがたり4

 

数奇な人生を歩んだ老中小笠原長行の重大な決断と約束!

私の嫡子を拾ってほしい!

子のいなかった大名が、初めての子を捨てるとは?(第5話「送り舟」)

 

夜中、船宿「篠屋」に供ひとりを連れた侍がなだれ込んできた。追われているという。あとで知れたが、老中の小笠原壱岐守長行だった。唐津藩六万石の嫡子として生まれたが二歳で父を失い、幼すぎて藩主になれず三十六歳まで深川でひっそりと暮らした。だが、ある時、青天の霹靂のように脚光を浴び…。生麦事件の処理で「江戸を救った恩人」ともいわれていたが……。

  


影燈籠

柳橋ものがたり5

 

手を洗え。外に出るな。江戸で三万人が死んだ九年前の疫病(コレラ)大流行…。悪夢再熱の兆に立ち向かう蘭方医で軍医の手塚良仙は漫画家手塚治虫の曽祖父。時代の大転換期に人々は…。(第4話「うつろ舟」) 

船宿「篠屋」の船着場に奇妙な屋根船が流れ着いた。船頭らしき男が一人死にかけている。近くにいた蘭方医で軍医取締の手塚良仙が駆け付けた。良仙は後の漫画家手塚治虫の曽祖父。九年前に大流行し江戸で三万人が死んだ“安政コレラ”の症状に似ている。二人いたらしい客を早く捜さないと、あの悪夢が再現してしまう。江戸を悪疫から守るための闘いが始まった。


しぐれ迷い橋

柳橋ものがたり6

 

苦労してるのは、私ばかりじゃない。

自分も腹を括ろう!

 

人気絶頂の噺家三遊亭圓朝は、人には言えぬしこりをかかえていた。だが、成島柳北が、一月前に騎兵頭を辞め外国奉行になり、今政治のはざまで苦労を強いられていると知り、心が少し軽くなった気がする。成島柳北はれっきとした幕臣ながら柳橋では誰もが知る粋人中の粋人散々な目に遭っているのは、自分ばかりじゃないのだと。(第4話「しぐれ迷い橋」)

 


春告げ鳥

柳橋ものがたり7

 

唐津藩嫡子の身ながら藩から排されつづけた元老中の究極の決断!

幕府崩壊の尖風と黒煙の下、小笠原長行に帰国の誘い。

またも藩存続の生け贄か!もう藩には左右されぬ──。

(第五話『春告げ鳥』) 

  

 慶応四年三月三日、三度目の老中を辞したばかりの小笠原長行のもとへ国許の唐津から使者が訪れた。時節柄、帰国されては…という藩主からの誘いであった。長行は二歳で藩主の父を亡くし、藩国替えの危機脱却のため、後継者から排された。こたびは、新政府への生け贄として長行を呼び戻す。もうこれ以上、藩存続のためには動かぬ。長行は究極の決断を己に迫った。(第五話) 

 


夜明けの舟歌 

柳橋ものがたり8

 

柳橋が勿然と消えた!

官軍との戦の真只中。船宿『篠屋』の船頭は…。

 

慶応四年五月二十日、強風に陣羽織の裾をなびかせ騎馬が駆けてくる。『篠屋』のそばで馬を止め、ひらりと降り立った。六尺豊かな巨大漢。山岡鉄太郎であった。この三月、東征軍参謀の西郷隆盛に目通りし、江戸城無血開城の下工作に成功していた。山岡は、強風のなか横濱の軍陣病院まで益満休之助を運んでほしいという。益満は西郷の懐刀だが流れ弾を受け破傷風にやられ……。

 


満点の星

柳橋ものがたり9 

 

日本医学の父たるべき熱血ウイリス院長を憔悴させたものは──。

人の顔を観るのは、満天の星を見るようなもの。

ドクターは薩摩へ行く──。

占い師閻魔堂は大病院(後の東大医学部)の寝台で語った。

 

船宿篠屋の綾は実兄大石幸太郎の名を横濱軍陣病院で発見、ウイリス医師に再会しようとしたが、野戦病院の軍陣病院は廃されウイリスは新病院の院長になったという。

藤堂家上屋敷に建ち上げられたという新病院を捜した。

幕府はここに西洋医学所をおき西洋医学を普及させ、明治新政府は医学校として復活させ、この大病院の院長にウイリス医師を迎えた。