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喉にゴジラが飛び込んだ


 料理しようと冷蔵庫から出した菜花が、花を咲かせていたので、三本ばかり食べずに花瓶に生けました。いよいよ春も本番、花粉症まっ盛り。皆様ご機嫌いかがですか。

 

 花粉症の重い私は、今年も「シジュウム茶」が頼りです。茶碗にパックを入れ、お湯を注いで、一日三回ほど飲むだけ。ケミカルな薬をなるべく飲みたくないので、この「天然原生シジュウム葉100%」で十年以上も、被爆の嵐をしのいでいます。  

 

このケミカルで思い出すのが、忘れもしないあの悲惨な体験-----。花粉症の名がまだ広まっていない頃のある春先、ひどい口内炎の症状に見舞われたのです。喉がザクロ色に腫れ上がり、痛んで声が出ないし、飲食も出来ない。コップ半分の水を飲むのに三十分、お粥一杯が一時間。唾も飲み込めず、横向きに寝てタオルで下に流すほど。駆け込んだのは、通いつけの近くの耳鼻咽喉科でした。 中国人の老医師による漢方系の治療で、抗生物質乱用やクスリ漬けの恐れはなく、安心して委ねられるはず-----。ですがいっこうに治らない。

 

 さすがに不安になって、“天然の抗生物質”と評判のプロポリスを、個人的に飲んでみた。すると炎症が逆にひどくなり、まるでゴジラが飛び込んで、シコを踏んだみたいな有様です。 驚いて、抗生物質の使用を先生に頼み込みました、もちろん筆談で。先生も忸怩だったのか、ぶつぶつ言いつつも弱い抗生物質を処方してくれたけれども、ゴジラはビクともしない。

 

 二、三日たって、もっと強力なのをと泣きついたら、先生はこう宣った。どうも、恐ろしい病気が潜んでいる可能性がある。自分はこれ以上お手上げだから、大病院に紹介状を書きます」真っ青でしたが、大病院よりもまずは目先が大事と、強力な抗生物質を無理に出してもらい、家に帰って、病気に詳しい知人の週刊誌記者に相談したら、すぐ癌センターの名医に電話してくれました。  

 

 病状を聞いて、名医は電話口であっさり即答したそうです。「あ、それ、アフタです。抗生物質で治るから心配いりません」 子どもがよく罹るポピュラーな病気なんだそうで、なるほど、この時の薬で病状は激変し、みるみるゴジラは撃退され-----。

 

 といってもここまで進んでは、完治にはさらに十日、都合一か月くらいかかりました。それにしても一体あの苦しみは何だったのか? 江戸後期に対立した漢方医と蘭方医の差は、かくやあらん-----。 しかしながら逆にクスリ漬けになった現代では、やはりケミカルには慎重であるべきか、という次第で私は花粉症にも薬は使わず、あれこれ先人に聴き、試して、辿り着いたのが、この天然由来のシジュウム茶(ネットで調べられる)だったというわけです。

 

 さてあの菜花はまだ咲いています。他の半分は、ほうれん草半束と共に、洗ってよく水をきり、

フライパンに入れ、塩を振り、ニンニク一かけをすりおろし、オリーブオイルを適量かけ回し、フタして二、三分。美味しいつけあわせの出来上がり。お試しあれ。