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江差町と岸田会長の不思議な縁

江差町。北前船の交易で栄えた頃の建物を復元しています。
江差町。北前船の交易で栄えた頃の建物を復元しています。
開陽丸
開陽丸
榎本武揚
榎本武揚

森さんの新エッセイ、江差線と森真沙子ファン倶楽部の会長・岸田信高さんには、実は不思議な縁があったのです。岸田会長の祖先は、なんと北海道・江差町の豪商・岸田三右衛門だそうです。

 

江差町は、函館から車で1時間半余りの日本海沿いの町。江戸中期から明治30年頃までは、大阪を起点に瀬戸内海から日本海を運航して蝦夷に至る北前船の交易によって栄えました。

 

この北前船を12隻も所有していたのが、江差の豪商・岸田三右衛門でした。京都、大阪をはじめ、下関、敦賀の商人たちと手広く取り引きしていたと言います。

 

岸田さんは、母親から「わが家の先祖は、江差の豪商岸田三右衛門」と聞いて育ち、十数年前には自らのルーツを確かめるために江差町を訪問。町役場の職員に、岸田三右衛門ゆかりの場所を案内してもらったそうです。

 

しかも、江差町は、旧幕府の軍艦奉行だった榎本武揚らが、当時最新鋭の軍艦開陽丸を奪い、品川沖から逃走してきた地です。ところが、江差沖で猛吹雪にあって、開陽丸は座礁沈没してしまいます。

 

その後、榎本軍は五稜郭に立てこもり、箱館戦争が勃発しますが、抵抗は長続きせず榎本軍は降伏します。

森真沙子さんの『箱館奉行所始末第5巻海峡炎ゆ』は、この箱館戦争が舞台となっています。