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頭痛肩こりの今年の七夕 

 

 ベランダで夏を告げる白いムクゲが咲いて、今日は七夕。

 昨日6日にワクチン二度目を接種したら、夜から腕の痛みと偏頭痛が出て寝苦しく、今朝はズキンズキン。這うように起き、朝食を済ませ、熱は出てないけど解熱鎮痛剤“アセトアミノフェン”を服用。ソファに横になって二、三時間しのいだら、痛みは柔らぎました。

 

それにしても朝からソファでTVを観てると、どの局も“熱海土石流”の惨状ばかり。天災と思っていた災害が、悪質業者による人災だと分かって、きな臭さぷんぷんです。そんな中で、現場中継のレポーターが「今日は七夕です」と言うのを聞いて、エッと思った。

 七夕にはいつも家で呑み会をしてたのに、去年はコロナ禍でスルー。今年もワクチンや締切や災害があって、思い出しもしなかった。夜は、星も見えない梅雨空でした。何てひどい七夕!


▲小笠原長行(おがさわら・ながみち)

▼小出大和守(こいで・やまとのかみ)

そもそもワクチン副反応ですが、色々と体験者に聞いてみると、どうやら人それぞれですね。私は、前回同様の腕の痛みに加え、今回は偏頭痛のおまけがついた。その大きな理由は、『柳橋ものがたり7』をギリギリに仕上げ、目や肩がパンパンに張っていたこと。おまけに数日の締切の遅れはいつも大目に見てくれるのに、今回は八月刊行を十一月まで延ばされちゃった。私の原稿なんぞ吹けば飛ぶようなものなのねと脱力したら、残ったのは肩こりと頭痛ばかり。どうやらワクチン副反応とは、こちらの身体の弱みにつけ込んで攻撃してくる、ゲリラみたいもののようです。

 

ついでといっては何だけど、いつもより手がかかるのが多かったこの七巻の五つの短編について、少し-----。トリは、身辺に暗殺の手が伸びていると察知しての、元老中・小笠原長行の夜逃げ譚『春告げ鳥』。これは実際の話で、史料を読むのも楽しく、この人の人生の凄さに改めて驚かされました。でも当時は川賊が横行した危険な隅田川を、深夜に遡る旅はどうだったのか、想像が追いつかなくて----。

 

実話といえば、徳川の世がひっくり返ろうとしている転換点のまさにその時期、歌舞伎役者田之助が、右足を切断した。その“継ぎ足”(義足)をつけるまでの騒動を書いたのが『生き人形の脚』。世の中どうなろうと、一本の足は大事ですよね。

 

第一話の『ペリーさんの拳銃(ピストル)』には、『箱館奉行』だった小出大和守が登場します。彼は、遣露使節として帰国してから、慶応四年の初め、北町奉行として歴史に登場。大事な役割があったからで、それを終えてほぼ二ヶ月で辞職した。以後は歴史の舞台から消えるので、それを惜しみ、何とかここに書き留めておきたかったのです。気楽なストーリーで、頭痛肩こりはしないから、十一月には思い出して読んでくださいね。