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暑い夏は、おうちでご本を……

▲両国元柳橋の景/両国橋西詰の下流にあった薬研濠に架かるのが本来の柳橋。橋のたもとに柳の木が見える。後に両国橋西詰の上流に神田川が開削され、そこに架けられた橋を馴染みのある柳橋と呼んだため、薬研濠の橋を旧柳橋と呼ぶようになったという。

 

長らくご無沙汰です!

 

『柳橋ものがたり5』に掛かりきりで、ブログ書く余裕がなくて。といえばカッコいいみたいだけど、「あれはどの史料に書かれてたっけ」「あれは確かこの書物に-----」と、探し物探し読みに多くの時間を取られる日々でした。

やっと昨日入稿してやれやれと思ったら、早めに入稿した最初の部分のゲラが、今朝一番でどさり。もう、がっくりです。

原稿を手放した昨夜、見たかった深夜番組を見てうとうとしてたら、「あの人達(登場人物)今ごろどうしてるかしら」と夢の中で追っている自分がいました。


 

手こずったのは第4話の『うつろ舟』。

登場するのは、漫画家手塚治虫の曽祖父で、小石川三百坂に住んだ蘭方医の手塚良仙。手塚家は代々、医師の家系なんですね。緒方洪庵の適塾で、福沢諭吉の手ほどきを受け、幕末は幕軍の軍医でした。

 

安政五年夏には江戸に戻っており、コレラが大流行した大江戸パンデミックを“しっかり”体験しています。

だから九年後の慶応三年、起こりかけたコレラ騒動に巻き込まれ-----という設定もあり得たと思うのですが、これがなかなかで-----。

 

刊行は七月下旬。もうコロナ騒動が収まっていればいいですね。自粛も解禁となり、三ヶ月間真っ白だった私のスケジュール表も、ポツリポツリと書き込みが入り始めました。

でも油断は禁物。暑い夏になりそうだから、お家のクーラーで涼みつつ、しばし幕末の柳橋で遊んでみてはいかがでしょう?

 

そうそう、この六月二十三日には、赤江瀑読本の『赤江瀑の世界』が河出書房新社から出ます。中に、私も参加する鼎談も再録されているので、チラと覗いてみてください。

 

 

 

▲手塚治虫が曽祖父・手塚良仙の人生を描いた「陽だまりの樹」(小学館文庫全8巻)

▼「赤江瀑の世界」(河出書房新社)