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ゾンビ歩き

 

 いよいよ元号が変わったけど、皆様はお変わりないですか?   気が利かないことに私は体調を崩し、平成最後の五日間、昏倒していました。持病のめまいが二年も出ないので、つい油断し、字の細かい資料やネットを読み漁っちゃって--。

 

   あっと思った時は、いつものめまいと吐き気。せめてひどくなる寸前に病院によろばい込んだけど、それでも五日は寝込みました。頸椎と目の酷使から来る職業病で、もう十年以上の付き合いです。

 

    起き上がる時、歩行の時が特にグラグラし、あまりに辛いので、何とか楽な歩き方を工夫してみたら、以下のようでした。肩を後ろに反らせ、両手を背後に回して繋ぎ、背筋を伸ばす。頭をもたげて一点を見つめ、一足ずつゆっくりソロリソロリ----。

「あっ、それってアレに似てません?」

と笑う人がいたら、 あなたは、BS日テレ土曜深夜の「デイ・アフター Z」にハマってますね! 


     そう、ロシア発のゾンビシリーズで、私もハマってます。これまで映画などで生み出されたのは、墓から這い出して来た腐臭漂うゾンビで、私はあまり好まないけど、こちらは美女ばかり。

ネタバレですが、悪徳製薬会社の陰謀で、美しくも凶暴なゾンビに改造されちゃったんです。特徴はその歩き方です。肩を後に引き、一点を見つめ、モデルのように歩く。廃虚と化したモスクワの街を、妙な姿勢で彷徨い歩く美女たち。これ、結構怖いです。ロシアでは大人気だそうで、もう“シリーズ2”だから、プーチンさんも目くじら立てずお楽しみかな、などと考えたりして。

 

 特にそれをイメージしたわけでなく、苦し紛れにあれこれ試してみて、辿りついたのが奇しくも“ゾンビ歩き”だったんです。もしや製作したロシア人にも何か医学的根拠(?)があるのかな、などと思っていたら先日、整骨院の先生が、帰りがけのいかにも具合悪そうな私を呼び止めて仰った。

「肩を丸めないで、両肩を後ろに引いて歩くとラクですよ。肩甲骨から両肩にかけて大動脈が通ってるし、ここにツボもあるからね」ですと。むむ-----まさにゾンビ歩き。まさかそれが、東洋医学のお墨付きを頂くとは。もしかしてロシア人も、ゾンビが地上を人間らしく進むために、理に適った歩き方を研究したんでしょうか。 

 

 考えてみると、足元もおぼつかぬめまい患者は、どこかゾンビに似てますね。何をしようにも、世界がグラグラ回っていて何も出来ないし、吐き気がして何も食べられない。身体は自分であって、自分じゃないんだから。こんな状態では本も読めないから、テレビを見てるしかない。

 

 そんなわけで私はこの五日間、“平成→令和”の各局挙げての大狂騒を、ボーゼンとつぶさに見て過ごしたんです。もっとも、私もゾンビと化していたから、お互いさんでした。

☆「デイ・アフターZ」については、下記をクリック

https://video.foxjapan.com/tv/dayafterz/s1/episode/index.html