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レモン力に目覚める

 この夏の前半は、ぐずぐずした夏風邪に悩まされました。春先から、我がマンションの向かいで建築工事が始まり、騒音と粉塵をまき散らし始めたのです。窓を閉めきってクーラー漬けのところへ、この猛暑! 古いエアコンは頑張ってるけど、私は風邪ひきました。

 

 七夕の夜が最悪でした。来客があって疲れ、喉が痛く、咳がひどくてなかなか寝つけない。悶々とするうち、ふと思い出したのが、「レモンとハチミツの梅酒漬け」です。最近、些細なご近所トラブルがあり、放っておけば厄介かとメロンを届けたら、お返しに小瓶にとり分けてくれたのです。その年配の奥さんが、手作りで漬けたんだとか。

 試しに舐めてみると、ドロリとして甘ったるい。何と言うか、血の濃そうな貴人みたいで近づきにくく、呑まずに放置してたんだけど----。

 

 頭に浮かんでみれば「アレだ!」と閃くものがある。ダメモトで、小瓶からグラスに二センチほど注いで、薄めずに呑み、レモンの薄切りも二枚むさぼりました。眠りにおちて翌朝目覚めた時、あれれ、嘘だろう----、喉の痛みが消えている。まさかと思ったけど、咳も出ません。まさかまさかで少しづつ呑み続けるうち、二、三日で、夏風邪はスッキリ抜けました。まるで「レモン会社」の宣伝みたいでしょう?


 

 レモン、梅酒、ハチミツの、どれが効いたものか。もちろん総合力でしょうが、あれこれ調べてみると、まずレモンに含まれる「クエン酸」が、やけにいい仕事しますねえ。血管を若返らせて、疲労回復だって。

 今までレモンは、揚げ物に添えたり、サラダに絞り入れるものと思ってたけど、それは入門篇にすぎないと、遅まきの発見でした。

 さて梅です。梅には、レモンの十一倍のクエン酸があるんだって!

 この両者に栄養高価の高いハチミツを加えるのだから、夏風邪など、一夜にして吹き飛ぶはず。あれは大変な贈物だったのでした。

 

 さっそく同じものを作ろうと、レモン絞りをネットで購入したけど、今は梅の時期ではないから、市販の梅酒を使いました。いろいろのメーカーで試したけど、梅酒がどうも甘すぎるのが難点かな。

 それでも一合の梅酒に、レモン一個を薄切りにして漬け、ハチミツを大さじ2くらい入れて数日おくと、結構美味しく飲めます。一ヶ月たった今の時点でお勧めは、レモンの絞り汁に、ハチミツを入れたお手軽なもの。レモン半分を絞り、ハチミツを小さじ一杯混ぜて、水で割ります(量はお好みで)。つまり一日一個、朝と晩に呑む。クエン酸は胃に刺激が強いから、それくらいがいいようですよ。

 

 ただ、無農薬ノンケミカルのレモンは高い。庭で獲れたなんてレモンは、珠玉のエリート。私は“その他大勢”を、皮を削いで漬け込みました。ハチミツもなるべく国産がいいけど、悪名高い“某国”の産でなければ、“外国産で良し”と考えることにします。

 ともかく手遅れにならぬうち(もう手遅れ?)、レモン愛好者となって、アンチエイジングしましょう。もっと練達のレモンエキスパートがおいででしたら、いい知恵をお授けください。